昨日の続きです。

 

 

 第二は、アンドレボーザンの説。これは、

一九五九年に提唱されている。

 農学者であるアンドレボーザンは、[土壌と

草の中の無機元素のバランスが、われわれ

健康に決定的な影響を与えている]と指摘し

いる。

 少し具体的に、その研究内容をみてみよう。

 土の中に含まれているミネラルのバランスの

崩れは、植物中のバランスを崩してしまう。

そして、それを食糧として摂る動物体の健康障害

引きおこす、というわけ。

 アンドレボーザンは

学者であるから、ウシ(乳牛)を研究対象にして、

このような結論を引き出している。

「牧草」のミネラルバランスの崩れは、ウシの

「血液」のミネラルバランスを崩す。

血液のバランスが崩れれば、

必然的にそのウシの分泌物である「牛乳」の

ミネラルバランスがおかしくなる・・・というように、

ミネラルのアンバランスの連鎖反応を追跡して

いる。

 そして人間の健康の崩れのルーツも、土その

ものの成分のアンバランスにある、ということを

指摘している。

 農学者であるから、根源を土に求めているわ

けだが、食物次元を問題にするわれわれも、

の「食物の質」と、「土の質」とは切り離して考

られないものだから、このような考え方も、

大いに考慮していかなければならない。

ふつう、医学の問題というと、得てして、人間の

体にだけ問題を限定して考えがちだが、そうでは

なく、「食べ物に問題がある」さらに「その食べ物

の依って来る土の質に問題がある」というように、

より根源的に考えていく態度・感覚をもたなけれ

ばならないものだ。アンドレボーザンの考え方は

[土とわれわれの体は一体である]という発想で

あって、大変にダイナミックな研究といえる。

非常に優秀なよい研究だと、私は考えている。

 そういう発想のもとに、アンドレボーザンもいろ

いろな研究をおこなっていて、興味深いものが多

いが、その中でも、土壌の質に関することでここ

でとくに取りあげておきたいのは、

「農薬(とくにカリ肥料)を用いることによって、

植物(農作物)の成分からマグネシウムが抜け落

ちてしまう」といっている点だ。

しかも、「それが発ガンにつながる」

とまで、大胆にいい切っているのである。

 ここに至って、マグネシウムの欠乏に一つの

点がある、ということで、

先のピレマーのプロパージン説とつながってくる。

また、どちらの説も、「発ガン」を問題にしている

でも共通しているが、

際に、発ガン理論としても十分に通用する

ダイナミックな理論といえる。

 

 

 そして、第三は、わが自然医学の根底をなして

いる革新血液理論(森下理論)である。

 この革新血液理論は一九六〇年に提唱したも

の。その理論から、病気(慢性病)とは何かという

核心を一言でいえば、[食物、消化、血液の異常

によってもたらされる全身の失調、それが慢性病

である]ということになる。

 もう少し具体的にいうと、慢性病が発生するの

は次のようなメカニズムによる。

 まず、動蛋食品や精白食品といった人間本来

の食性に反する食物を摂ることによって、腸の中

で腐敗現象がおきる。その結果、腐敗産物(アミ

ン、アンモニア、フェノール、硫化水素など)が、腸

の中で自家生産される。その際、同時に病的ビー

ルス(毒素)も生み出される。つまり、フローラが

混乱するのだ。

 次の段階として、血液に異常がおこる。要する

に血液が汚染されるのだ。さらに次の段階で、体

細胞に障害がおこる。血液の汚染がもとで、組織

に炎症がおこるのだ。腫瘍も本質的には炎症な

のだから、発ガンのカラクリも、以上と同じものと

考えてよい。なお、体のどの部位の組織に炎症

や腫瘍がおこるかは、人それぞれの体質の違い

によって異なる。発生場所は違っても、炎症であ

るという本質は同じなのだ。

 ということになると、ガンを含めてすべての慢性

病を治すことは、少しもむずかしいことではないは

ずだ。大もとである食物を正せばjいいのである。

 すなわち、未精白の雑穀を主食にし、野草、海

藻、発酵食品を積極的に取り入れた野菜中心の

副食を摂ることによって、血液をきれいにすれば、

炎症(腫瘍)は必然的に消える、そのことがすな

わち消炎・消ガンなのである。

 

 

 以上に紹介してきた三つの理論を総合的に

えていけば、なぜ、慢性病が発生するのか、

とくにどの点に決定的な問題があるのか、という

ようなことが、浮き彫りにされるはずだ。

 ピレマーの説、アンドレボーザンの説、そして

森下理論という三つの考え方を総合的に見てい

けば、大体まず間違いのない基本的なモノの

え方ができ、したがってガンをはじめとした

慢性病の治療方針を誤りなく立てることができる

はずである。すなわち、自然治癒力を増強せしめ

実際的な方法が確実に見つけられるのである。

 

 

 

 

 

本日は以上です。ありがとうございました。